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隠居からの手紙

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コンピューター

   先日、オーストラリアにいる姪からイーメールを貰いました。文字化けしていて読めません。
前にも同じような事がありましたので,いろいろ操作をしたのですが、どうしても直りません。あわてて、姪には読めないことをメールし、子供たちには解決方法を聞くメールを出しました。返事が来る前に気が付いて、グーグルで「文字化け」と入力しました。すぐ解決方法が見つかりました。
Unicodeを使えばいいのです。手紙が読めたので、早速皆に、解決した、お騒がせして申し訳ないと知らせました。またまたおやじの権威が下がりました。

  照栄院は、お寺としては早くにコンピューターを導入しました。初めはワープロ専用機を使い寺報を作りました。パソコンは十分値段が下がった時に導入しました。幸い義弟が専門家でしたので、彼の指導を受けて、ホームページ、檀家台帳などを作りました。しょっちゅう判らないことがあると、メールや電話で教えて貰いました。今振り返ると随分初歩的なことばっかりでした。

   しかし所詮は素人で、どの作品も幼稚でした。結局、専門業者に外注しました。苦労したのは檀家台帳で、個人情報そのものですから、ソフトだけを業者に作ってもらい、入力は若い僧侶に頼みました。
ソフトを作るには、どうしてもどのように使うのか、実例で、業者に教えなければなりません。無理を言って担当者にお寺に来てもらって、微妙な所は、お寺のコンピューターを使って説明しました。

  それでも一応何でも自分でやろうとしたので、コンピューターの概念はつかめたと思いました。娘が最初のコンピューターを買うときには、いっぱし相談に乗りました。でも私の優位は半年ぐらいで、すぐ私が彼女に教えて貰うはめになりました。コンピューターの世界が日進月歩で付いていけなくなってしまいました。
例えば、初めのころのインターネットは今と違い、いちいちプロバイダーの電話番号につなげなければ使えませんでした。それが常時接続に切り替わった時には、当初、その意味がよく解りませんでした。

  引退した今は、コンピューターを使って一番利用するのはニュースを読むことです。次は検索機能です。何か分からないことがあると、すぐ使います。口コミ系の情報はあまり信用していません。食事にしても旅館にしても、若い人の投書が多いせいか、老人には向かない施設が上位に来ているようです。メールはあまり使わなくなりました。同世代の友達で使う人が少ないせいもあるかと思います。

  人類は道具を発明する事によって、文明を作りました。道具が肉体労働を補完し、生産を高め、余暇を作り、思考の時間を得たからだと言われます。コンピューターは余暇を作るが、同時に人間の思考の領域に踏み込んで来たのが、今までの進歩と違うと言って、文明の将来を心配する人がいます。

  道具が人間の思考の領域に影響を与えたことは、少なくとも二度あったと思います。一つは文字の発明で、二つは紙の発明です。両者相まって、人類は記憶を、紙への記録にゆだねることになりました。
商業にしろ哲学にしろ、記録を重ね、それを利用する事により、智慧を発達させました。

  その智慧の領域にコンピューターは侵入してきました。将棋の世界では、間もなくコンピューターが名人を破るだろうと言われています。自動車や家電も、内蔵されたコンピューターが自律的に判断することで、うまく動くようになってきました。やがてもっと複雑な思考の世界に入ってくるでしょう。そのとき人類はそれを利用して文明をもっと高めることが出来るでしょうか、それとも人間が人間としての価値を失ってしまうのでしょうか。私は楽観的です。
コンピューターはいつまでたっても人間の支配から抜けられないと考えるからです。コンピューターと将棋名人の戦いは、実際にはコンピューターのソフトを作った人と名人との戦いです。考えるロボットが出来ても、そのスイッチを操作するのは人間です。ライオンの脳に生物コンピューターを仕込んだとしても、人間は他のコンピューターを使ってそれに対処できるでしょう。

石川恒彦

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