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隠居からの手紙

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医療事故 その2

 病室に病人を見舞ってもなかなか話が進みません。すぐに帰るのも気が引けるので、少し座っていますと、医師や看護師が入ってきます。彼らの仕事を見ていると結構小さな失敗をしています。

  大きな声で挨拶をしながら入ってきた医者が、ものも言わずに踵を返します。部屋を間違えたのかと思っていると、まもなく何か医療器具を持って戻ってきます。忘れたんですね。  患者の枕元で機械の調整をしていた看護師が、急に仕事を止めて、ゴム手袋を着け始めます。どうやら最初からゴム手袋をしなければいけなかったようです。

  看護師が採血を始めます。患者が気が付いて、「さっき血を採ったばかりだよ」。看護師はちらっと連絡表のようなものを見て、「ああ、いいんですよ、心配ありませんよ」。どう見ても採血途中で帰ります。
 こういう場面で気になったのは、彼らが絶対失敗したと言わず、謝りもしないことでした。むしろにこにこと笑っています。けしからん。

 そう思っていたのが、父を我が家で看病するようになって、がらっと変わりました。前回書いたように、私たち夫婦は数々の失敗をしています。それをいちいち謝っていると、父にものすごい不安を与えるのです。少しの失敗は何事も無かったように振る舞う方がはるかに賢いやり方だと悟りました。 医者や看護師のあの態度も理解できるようになりました。


平成18月7月
石川恒彦

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