表紙 > 隠居からの手紙 > バックナンバーもくじ > ラグビー見物(平成29年5月)
朝、弟から電話があって、ラグビーを見に行かないかといわれました。ワールドカップの時、テレビでちょっと見たくらいで、あまり興味もないので断ろうとすると、日韓戦だといいます。サッカーの試合を思い出して、ゲームはわからないが、応援合戦が面白そうだと思い、出かけることにしました。
ルールを知らないので、出かける前にネットでルールの概要をのぞいてみると、ラグビーのルールは複雑でとっつきにくいと書いたあります。ちょっと嫌な気分になりました。
秩父宮ラグビー場は行ったことがありませんので、弟に行き方を聞くと、地下鉄外苑前で降りて、競技場方面というゲートを出て、あとは人混みについていけば自然にラグビー場へ着くといいます。半信半疑でそのようにすると、確かにラグビー場に着きました。ずいぶんフアンがいるものと驚きました。どんどん人が入っていきます。弟は入場券をもって門のところで待っていました。会場に入ると、ビールを売っているのが目につきました。ラグビーのような乱暴な競技の国際試合で、ビールを飲んでもいいのかとちょっと驚きました。
観客席に入ると観客がいる割には何となく静かです。韓国の応援団など見えません。2万5千人収容の観客席ですが、60から70%の入りです。天然芝がきれいです。なんでも、冬芝夏芝を切れ目なく入れ替えて、一年中競技ができるそうです。向いの観客席に日の丸をもっている人が一人いました。道化のような恰好をした日本応援の人が回ってきて何か言っていましたが、よく聞き取れませんでした。
両チームの選手が練習をしています。韓国選手のほうが体が一回り大きいように見えます。弟の言うには、日本の主力は海外遠征中で、今日は若手中心だそうです。これは、勝ち目がないので、日本の応援も盛り上がらないのかと思いました。
いったん着替えのために選手たちは引き上げ、定刻に再び芝生にあらわれました。両国国歌の演奏です。日本の選手は胸に手をやっていますが、韓国選手の半分ぐらいは敬礼をしています。軍人が入っているのかと思い、ますます、日本不利の感じを持ちました。
試合が始まると、それは杞憂でした。日本のほうが圧倒的に強いのです。点差は開く一方でした。後半も最後になると、周りの日本人の中には、韓国に同情して、韓国を応援する者さえ出てきました。観客席は、興奮からは遠いものでした。
おそらく、体力では、韓国のほうが上でしたでしょうが、技が違いました。それに守勢でも攻勢でも、日本は陣形がしっかりしていました。それに反し、韓国は韓国側に球が渡っても、パスを渡す相手が見つからない時もあるように素人目にも見えました。ただサッカーでもよくありますが、日本の陣形が崩れた一瞬に相手に球が渡ると、点にはなりませんでしたが、独走を許すことがありました。また終盤には、パスをすれば得点に結びつきそうなのに、無理に突込み、つぶされる場面もありました。
結果は80対10でした。これが、イングランドやニュージーランドと戦うと、反対の結果になるそうです。早く中国や韓国に強くなってもらって、もっと緊張する試合をするようにならなければ、日本のレベルは上がらないように思えました。
石川恒彦