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隠居からの手紙

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覚悟

  福島の原子力発電所が津波の被害にあってから、もう3カ月になろうとしています。
メディアの関心は、政局に移って、原発事故のほうは、何とかなるのではないかという印象さえ受けます。
しかし、新聞を子細に読むと、決してそんなことはなく、深刻な状態が続いています。

  政争は激しく、政敵は、管内閣のやってきたことを盛んに批判します。
しかし彼らは、自分ならこうやった、自分たちならこれからこうするという政策の表明はありません。
ただ、管はだめだというのみです。

  原発だけではありません。一般に地震津波の被害を受けた人々の生活再建のめどが立っていません。
いまだに一時避難所での生活を余儀なくされている方々さえいます。
ことに同情を呼ぶのは、原発の周りに住んでいる住民です。避難を勧められていますが、避難した後どうなるか皆目見当がつかないようです。この先何年、故郷に戻れないのでしょうか。
今は南風ですが、冬になって、北風が吹いた時、爆発があれば、今度は、南側の住民にも避難勧告が出されるのでしょうか。何一つわかりません。

  復興計画が練られていますが、報道による限り、官僚作のバラ色の夢を見ているだけのようです。

  厳しさが足りないのです。高度成長が終わってから、わたくしたちは、その遺産で何とかやってきました。
困難があっても、何とかなったのです。指導者たちは、口に出せば、未曽有の大地震とか、想定外の大惨事と言います。しかし、その対策となると、時間頼みです。被害者たちに当面我慢してもらえば、やがて時が解決すると。

  はたしてそうでしょうか。膨大な財政赤字と低い経済成長率の日本に、この悪夢を乗り越えられる力があるのでしょうか。資産家の三代目が、家計の赤字に気付いているのに、遊び呆けて、米蔵から火が出ているのに、何とかなるだろうと、たかをくくっている状態が、今の日本ではないでしょうか。このままいけば、すべてを失いかねません。

  ここは、家計を整理すべきところではないでしょうか。それには税金をあげて政府支出を抑えるしかありません。
そして余裕のできたお金で、東日本大震災の救済に充てるべきです。
おそらく大不況がやってくるでしょう。時代に合わなくなった企業は撤退するでしょう。
失業者は街にあふれるでしょう。しかし、この苦しみは甘受しなければならない犠牲です。
この苦しみの中から、新しい企業が生まれ、雇用が生み出されるのが資本主義ではないでしょうか。

  東京電力についても保護救済が主流の考えのようです。
しかし、原子力部門を切り離して会社を売却し、その資金で、被害の補償と廃炉に充てるのが本筋ではないでしょうか。巨大な基幹産業が外国人の手に渡ることを恐れる必要はありません。誰がこの会社を持とうとも、利益を上げるためには電気を売るほかはないのですから。覚悟を決めなければならない時が来ているように感じます。困難な道を歩もうと、国民に呼びかける政治が必要です。

石川恒彦

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