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隠居からの手紙

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闇の子供たち

重い映画でした。見ている間に、胃のあたりが締め付けられました。見る価値のある映画ですが、娯楽を目的に見たら失望するでしょう。

梁石日原作、阪本順治監督、江口洋介主演、「闇の子供たち」を見ました。

タイでの子供の臓器移植を調べていた日本の新聞記者は大変なことを知ります。臓器の提供者は死んだ子供ではなく、生きた子供であること。子供は麻酔をかけられ、心臓をえぐり取られます。もちろん子供は死んでしまいます。日本では子供の心臓の提供は極端に少なく、知ってか知らずか、かなりの親がタイでの手術に望みを託しているというのです。

生きている子供の供給は、子供売春の組織が担当しています。そこで、タイでの子供売春の実態が明るみに出ます。詳細をここに書けば、私自身が地獄に落ちる気分になるでしょう。
欲望について考えました。私たちはすべての欲望を満足させることは出来ないことを知っています。欲望の満足と欲望の抑制を制度化することによって、人類は文明を作りました。性欲もそうです。現代社会は結婚した、大人の男女の間の性関係が子孫を生み出すことが標準になっています。しかしこの枠組みに入りきらない欲望を持つ人が沢山います。浮気する人がいます。結婚制度に縛られたくない人もいます。同性にしか興味を持たない人もいます。そして、子供への性欲です。たいていの人は、心中にこれらの欲望を感じても、社会の規範に従う道を選びます。また同性間の性のように、社会のほうから彼らに近づいていく場合もあります。

そのなかで、子供への性欲を満足させることは、社会がどんなに変わっても許されることはないでしょう。そこで、どうしても欲望を満足させたい人は暴力に走るでしょう。また、人に知られず、お金で解決できる道があるならその道を選ぶ人もいるでしょう。そこに闇の子供たちが生まれます。

人間は死を恐れます。医学の発達も、人間に無限の寿命をもたらすことはできませんが、寿命を延ばすことには成功しています。臓器移植もその一端を担っています。提供される臓器には限りがあります。そこで金銭が動き、この映画でのように極端な例が出てきます。
一人の人間の満足は、他人の不幸になります。

映画は幸福には終わりません。出場するすべての人間が傷ついて終わります。
一つ気になったことがあります。それは、この映画に出演した子供たちのことです。彼ら、また彼らの両親は、何を演じているか自覚して、この映画に出演したのでしょうか。露骨な性場面は、おそらく、画面を合成したのでしょうが、彼ら子供が性を演じていることは間違いありません。彼らが傷つかないように何か特別な措置が講じられたのでしょうか。もしかして、高額な出演料をエサに彼らを出演させたのだとしたら、監督は、子供の性や心臓を買う人々とあまり変わらない心の持ち主と言えます。

もう一つ、この映画をタイで公開したらどんな反響があるでしょうか。

平成20月9月
石川恒彦

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