表紙 > 隠居からの手紙 > バックナンバーもくじ > 廃番(令和3年7月)
ここのところ、立て続けに、家の設備が壊れました。築20数年の家ですので、新築の時備え付けた設備や家具に不具合が出てきたのです。
はじめは、エアコンでした。我が家のエアコンは、暖房はガス、冷房は電気という、当時、はやっていた形式のものです。それがリモコンを押してもつかなくなりました。ガス会社を呼んでみてもらいますと、まずリモコンに電池が入っているかどうか疑われました。もちろん電池は新しいものに替えてありました。
それから室内機を開けて点検しました。基盤が駄目になっているので、取り換えましょう、と言って帰りました。電話があって、廃番ですので室外機室内機全部を交換しないといけないといわれました。必要ですので、高料金ですが、取り換えてもらいました。
次は、冷蔵庫です。どういうわけか棚板が一枚なくなっています。取り寄せようとしたら、また廃番でした。
そして、書斎の椅子です。キャスターのゴムがボロボロ落ちてきます。椅子の移動がきつくなりましたので、メーカーに問い合わせました。またまた廃番です。代替品もないといいます。高価な椅子でしたので、何とか使い続けようと、キャスターの広告をインターネットで検索しました。規格が沢山あって、どれが私の椅子に合うかわかりません。そのうちこういうことに詳しい人に会ったら、教えてもらおうと、そのまま使っています。不便です。
最後は、コンビネーションレンジでした。コンロと、オーブンと、電子レンジが一緒にくっついているやつです。時間を設定して、スタートボタンを押しても動かなくなってしまいました。簡単に直るとガス会社の人に来てもらいましたが、簡単ではなく、操作ボタン部分を全部替えなくてはいけないとのことでした。お願いすると、やっぱり廃番でした。コンロ部分は使えますので、そのままにして、電子レンジだけは新しいのをネットで買って使っています。
耐久消費財といいますが、20年もすると、部品がなくなってしまうのには驚きました。本体は、確かに丈夫で今も何ともありませんが、部品の生産をやめてしまっては、耐久とは言えないのではないかと思いました。
元凶は、頻繁な新型の発売です。それも画期的なものは少なく、目先の変更で、消費者に訴えているように思えます。大型店の売り場を見ても、20年前の私の家の製品から、特別に進歩したものはないようです。
買え替え需要を喚起するため、部品の供給をやめてしまうのでしょうか。しかし、部品を交換するだけで、まだ何年も使える本体を廃棄しなければならないのは、無駄です。環境保護の上からも面白くありません。
たしかに少量の需要しかない部品を作り続けるのは、採算に合わないかもしれません。それなら、廃番と同時に、本体の寿命を見越して、大量の部品を生産して、保管しておくべきです。法律はないのでしょうか。一律に決めておけば、メーカー間の価格競争に影響を及ぼすことはないと思うのですが。
石川恒彦