表紙 > 隠居からの手紙 > バックナンバーもくじ > メロン騒動(令和2年9月)
今年は、メロンに挑戦しました。ここ数年きゅうりの栽培がうまくいったので、同じウリ科のメロンを育ててみようと思ったのです。ころたんという名のメロンの苗を3本購入しました。
苗についてきた栽培説明書をみて、驚きました。カタログには、簡単に栽培できるように書いてありましたが、そんなことはありません。まず、過湿に弱いので、畝を高く作らねばなりません。地温が低いとよく成長しませんので、黒いポリマルチを張っておかなければなりません。植え付けの直後は、水をたっぷりやりますが、それからは、極度に乾燥しなければ、水やりを控えなければなりません。
それだけではありません。つるが伸びたら、葉を3~5枚残して摘心します。葉の根元から出る子づるは3本残します。子づるの8枚目までの葉から出た孫づるは除去しなければなりません。それ以降の子づる孫づるは伸ばし放題にします。
これが問題でした。道を通る、園芸に心得のある人が、次々に子づる孫づるを摘心しなければならないと忠告してくれます。はじめは丁寧に、これはキュウリではなくメロンで、説明書に蔓を伸ばしっぱなしにするよう書いてありますと、答えていましたが、たいていの方は、納得せずに、馬鹿な爺とばかり、憐みの目で私を見て、行ってしまいました。ばかばかしいので、それからは、「面倒なことはしないようにしています」と答えるようにしました。これ又、憐みの目で見られました。
さらに問題は、人工授粉でした。確実な着果のためには人工授粉が必要と書いてあります。説明通り、雄花の花びらを取って。雌花の柱頭に花粉を付けたのですが、ことごとく失敗でした。仕方がないので、自然交配に任せることにしました。すると、少したって、雌花のお尻が膨らんでいるのに気がつきました。着果したのです。一週間ほどの間に20を越える実が育ち始めました。蜂さん蝶さんに感謝感謝でした。
結局16個収穫できました。成長不良の実がありました。別の説明書を読むと、夏の日照りの時の水やりが不足したようです。また、追肥も少なかったようです。初めてのことは、難しいものです。テレビを見ていたら、メロン農家の話が出てきました。自分はトマトを作っていたが、父親が死んで、父親のメロン畑もやるようになったが、数年は大変だったと語っていました。
早春、メロンの苗を植えたときの計画では、うまくいったら、孫を呼んで、庭で一個づづ食わせてやろうというものでした。新型コロナウイルスのお陰で、計画は実行できませんでした。宅急便で送ってやりました。孫6人に1個づつ計6個送り3000円もかかりました。美味かったという礼状が来ましたので、少し満足しました。残りはご近所に配りましたが、こちらも好評でした。
来年は、ウイルスもなくなって、メロンパーティーを出来たらと思っています。孫たちは喜んでくれるでしょうが、親たちはビールのほうがいいというかもしれません。ただ、今年のように虫が交配してくれるかは、ちょっと心配です。
石川恒彦