表紙 > 隠居からの手紙 > バックナンバーもくじ > マスク(令和2年8月)
肩の痛みが一年以上取れません。いつもかかっているお医者さんが、大きな病院で検査してもらいましょう、紹介状を書きますので、月曜日に取りに来てくださいと、言ってくださいました。
月曜日に取りに行きました。いつもは、マスクをして伺うのですが、この日は、マスクを忘れました。すると、看護師さんが、医院のマスクをくれました。厳しくやっているのだなと思いました。
明くる日、マスクをつけて大学病院に行きました。一列に並んではいるようになっています。マスクをつけて、手をアルコールで消毒しないとはいれません。マスクを忘れた人は、自動販売機で買うようになっています。いくらかわかりませんでしたが、これまた厳しいと思いました。体温を測定する機械を通って受付にたどり付きました。
受診票をもらって、指定の待合室に行きました。ここでも体温を測りました。腋の下で測るやつです。大学病院も経営困難で、非接触型の体温計を全部の科に配れないのでしょう。
コロナウイルスが流行ってから、病院は空いているということですが、ここは案外混んでいました。予約の時間が過ぎても呼ばれないので、周りの人たちを観察しました。みんなマスクを着けています。ちょっと前までは、マスクの人が沢山いると、異様な感じがしたものですが、今では当たり前の光景になってしまいました。通路を通る看護師の中には、透明のフェイスシールドを付けている人もいました。
日本では風邪が流行るとマスクをつける習慣がありますが、外国ではあまりないようです。今回のコロナウイルス流行の初めには、マスクは無用だという海外の専門家も多かったようです。
私の持っている不織布マスクの箱には、PM2.5対応と書いてあります。これは2.5マイクロメーター以上の粒子を防ぐという意味で、ウイルスの大きさは、0.1マイクロメーターですので、スカスカです。布マスク、ガーゼマスク、ウレタンマスクはもっと性能が落ちるそうです。N95という医療従事者用のマスクがありますが、これは病院の中で役立つもので、我々一般人が街中で使うのには適していないといいます。
しかし、どのマスクも、保菌者が菌の入った飛沫を飛ばすときは、飛沫を捕獲してくれます。今回のコロナウイルスは、感染しても症状が出ない人が沢山いるといいますから、そういう無自覚の人が他人にうつすのをマスクは、防いでくれます。みんながマスクを付ければ、感染の広がりを劇的に減らすだろうという研究もあるようです。諸外国もマスクの着用を推奨するようになりました。日本人のマスク好きも捨てたものではありません。
大切なのは、マスクの付け方で、マスクの前後左右が顔にぴったりついているのが理想です。どんな性能のいいマスクをつけても、はじから空気が漏れては役に立ちません。やっと呼ばれて診察室に入りました。大変感じのいい先生で、いろいろ質問され、これからの検査についても親切に説明してくれました。ただ、少し込み入った話になると、マスクを下げて話すのが癖でした。
石川恒彦