表紙 > 隠居からの手紙 > バックナンバーもくじ > 障子(しょうじ)(平成17年2月)
冬の間、昔のお寺は大変寒かったものです。しかし、最近ではどこのお寺も暖房が効くようになり、かってあった、お経が終わると、真っ青な顔をして震えている人を見かけることはなくなりました。それでも、広いお寺の建物全体を暖めるというわけにはいきません。お客の通る部屋だけを暖めるのがふつうです。私の寺も部分暖房です。
このごろ気が付いたのですが、暖房の入った部屋に入ったとき、障子を閉めない人が時々います。障子を閉めずに部屋を出て、大人から怒られたことはよくありますが、自分が部屋に入って、障子を閉めないことはなかったと思います。何しろ寒いのは自分ですから。
それでは何故、暖かい部屋に入って、障子を閉めないのでしょう。
想像できるのは、(1)単に面倒くさい、(2)障子を自動ドアと勘違いしている(とくに他人の開けたすぐあとに入ったとき)、(3)障子の断熱効果を知らない、(4)寒くない。どれでしょう。それとも他の理由があるのでしょうか。
ちょっとした気配り、欠けているのはこれだと思います。
石川恒彦