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隠居からの手紙

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三量

私達は二種の知識で世界を認識しています。一つは直接知で、私たちの五感が感じる知識です。もう一つは、その直接知から推量して得られる知です。仏教では、直接知を現量、推量知を比量と呼びまます。

  先日、近所で火事がありました。夜中に娘にたたき起こされると、サイレンがうなっています。外を見ると消防自動車が赤いライトを回してずらっと並んでいます。これは大変と上着を羽織って外に出ると、隠居所の向こうの家の二階から盛んに火を噴き出しています。すぐに消火活動が始まり、20分ほどで鎮火しました。幸い私の寺には何の被害もありませんでしたが、その家は内部が全焼しました。

  ここで、サイレンの音や、ライトの光は直接知です。そこから私は火事を推量しました。ホースがふくらんでいくのを見て、消火活動が始まったことを認識します。火が見えなくなると、鎮火を推量できました。このように私たちは現量と比量を繰り返して世界を認識していきます。

  しかし、現量と比量だけで、世界を理解するのは無理だと、経験は教えます。私達は完全なる論理を組み立てることができないからです。そこで必要なのが先人の知恵、特に仏の教えです。それを聖教量と呼びます。

  現量、比量、聖教量の三つがそろって、私たちは世界を正しく知ることができるのです。

平成16年3月
石川恒彦

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