表紙 > 住職より > 平成29年4月
法要の際、終わりに少し法話をします。
坊さんの口は良く出来ていて、晴れなら晴れで、雨なら雨で、曇りなら曇りで、良かったですねと話しをします。天候のそれぞれに風情があると思っていますので、嘘を言っているつもりはありません。
お寺に付設されている永代供養墓の久遠林では、年に三回の法要を行っています。
4月8日の花祭(お釈迦様の誕生日)の法要はその中の一つですが、この法要のみ、出欠の返信を頂いています。お弁当の有無を把握する為です。行事の一か月前に案内を発送して、皆様の返信を待ちます。当日の参加者が多かろうが少なかろうが行事の内容は変わりませんが、己の未熟を承知の上で、返信はがきに一喜一憂しています。
平成二十九年の花祭は土曜日に当たった事もあり、一週間前の段階で参加予定者が三百名を超えていました。過去最高の人数です。花祭は久遠林の敷地内での野外法要ですので、テントと椅子と机を業者に頼んでいます。従来の椅子の並べ方では数が足りませんので、玉砂利の部分に板を仮設して椅子席を増やしました。三百三十の席を用意する事になりました。
前日に要具の運び入れをする際、社長さんが心配そうに本当にこの数で良いのかと確認してきます。雨の予報だったのですが、どうせ大丈夫でしょう、と根拠の無い自信で答えました。予定通りの数で準備をしてもらいました。
当日、見事に雨が降りました。急遽朝から本堂の準備を整えました。外では要具がトラックに片付けられていきます。雨で外出を遠慮された方もいらっしゃいましたが、ありがたい事に二百八十名程のお参りがありました。堂内での法要の後、久遠林で献花をして頂きました。その後に書院で食事をして頂いて、無事に花祭が終わりました。
後日、業者さんが集金に来ました。申し訳なさそうに請求書を出されました。悪いのは指示した私ですからと言って、支払いを済ませました。良く見ると、大分割引がしてありました。
お釈迦様の御降誕は、母の摩耶夫人が出産の為の里帰りの途中に急に産気づいて、ルンビニー園の沙羅の林で行われました。この時、竜が産湯のかわりに甘露の香水を天より降らしたと言われています。ですから、花祭の雨は故事に倣う意味でも、大変に良い事なのです。
よろしいですか、大変良い事なのです。
来年の花祭は日曜日。今から晴れを願っています。
石川龍彦